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ひっそりと

いろいろ思うところをつらつらとつれづれに書いてみようかと。Qka_hsrt☆yahoo.co.jp

DVD

実家の母から電話がかかってきて「みたいDVDがあるねんけど」と言ってきた。注文して欲しいのかと思って問うとそうではなく、手持ちのDVDを再生したいけれどデッキの操作が分からないということらしい。母は30代のころから理解力と理解させ力が不足しておりしばらく根気よく聞かなければ何が何やら分からないことが多いのだけれど、私は言語を使い始めた頃から母と付き合っているので歩み寄ることが出来る。母からは微塵も近寄ってこないのだが。

 

母に、使ったことのない黒い方のリモコンで赤いボタンを押してデッキの電力を入れ、いつも使っている銀色の方のリモコンで入力切換ボタンを押してビデオ1にするように指示したのだけれど、電話越しの指示は通じているようで通じていない。この二つの動作を遂行させるために長い時間を要した。それにしても一体母は何のDVDを見ようとしているのか、指示の合間に訊ねるも「…うん、前に撮ったやつやねんけどな…」とはっきり言おうとしない。何を見ようとしているのかとても気になるけれど、私に与えられたミッションをコンプリートするべく、霧の中にいるような母をリモート状態でコントロールする。

 

「あ、なんかテレビに文字が映ってるわ」と言う母の声に成功か!と思ったけれどその文字は「ディスク読み込み中」だったらしく。どこからついてきてなかったの!?もう再生される段階まで来てたはずよ!?と軽い苛立ちを覚えた。それでももう再生まで近い!と期待したのにもかかわらず、結局母は再生をできなかった。何故だ…。母は「うん、分かったような分からんような、そのうち再生できるわ、多分…」と言いながら電話を切った。分かったような分からんような、なんて言っている奴は十中八九全部分かっていない。そしてそのうち再生できるってどういう種類のポジティブよ…と自分の無力を嘆いた。

 

数時間後にメールで「ビデオ見られたよ。ありがとう」と来た。本当に見られたのか、それとも母なりの労いの優しさか。そしてなにより一体何のDVDだったのよ?