ひっそりと

いろいろ思うところをつらつらとつれづれに書いてみようかと。Qka_hsrt☆yahoo.co.jp

背中

重く冷たい布団と硬くひんやりした毛布しかなかった。冬場に冷たい布団は容易には暖まらず、姉と2人で寒い寒いと言いながら身を寄せ合った。エアコンは居間にしかなく、暖房は石油ストーブに頼っていたので就寝中には点けることが出来ずに室温はどんどんと下がっていった。朝起きると布団の中にいるのに息が白いということもあった。3姉妹の子供部屋にはシングルとセミダブルの布団が一組ずつあったので、就寝ポジションは毎日ローテーションした。シングルの方は少し新しかったのでセミダブルよりも暖かく、1人でも比較的快適に眠られた。恐い話を聞いたあとの夜にはセミダブルでどちらかの姉と一緒に眠りたかったが、ローテーションの掟は絶対で私情を挟む余地は無かった。

 

冬に2人でひとつの布団で眠る際、布団を縦に二分割した線上でお互いの背中をぴったり合わせなければならないと姉から強く言われた。布団内に冷気が入ることを防ぐには隙間を作らない人間の配置が必要で、姉は背中合わせ最上主義者だった。確かに背中を離すと大きな隙間が出来てしまうが、2人ともが仰向けになっていても良いのではと何度か提案したのだけれど、毎回無下に拒まれた。合わせた背中を丸めるとそれも叱られた。背筋を伸ばして隙間を作らないことを常に求められた。

 

現在私は夫とダブルベッドを使っている。子供時代ほど極寒ではないし、柔らかい毛布と羽毛布団は暖かいけれど、昔の習慣から、夫とは背中合わせで眠りたいと思ってしまう。そして隙間を作ることは万死に値するかのような意識も残ってしまっている。夫は背中を丸めて眠るので私は「ラブ・ストーリーは突然に」な具合に背中を反る。