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ひっそりと

いろいろ思うところをつらつらとつれづれに書いてみようかと。Qka_hsrt☆yahoo.co.jp

でばがめ

私が通っていた中学校は校則が厳しく、「男子は坊主頭。女子の頭髪は肩につかない長さ」となっていた。ヘアピンやヘアゴムの類いは使用禁止だったので、ショートカットなら不便はないが、ボブカットでは俯くと顔の横に髪が垂れ下がるのでとても鬱陶しかった。

 

私の学年の勇気ある生徒会長が「男子の坊主頭制」撤廃に成功した。ランチルームに全校生徒を招集して読み上げられた新たな校則に男子は歓喜していた。女子の頭髪ルールは変わらなかった。校則が変わってから男子は髪を伸ばし始めた。中学3年生だったので高校入学までに普通のヘアスタイルを目指す男子たち。フワフワした雛のようなマリモのような磁石につく砂鉄のような頭の男子ばかりになった。

 

その勝利を勝ち取る前の卒業生であった、1年先輩の男子に「よっちゃん」と呼ばれる伊達男がいた。よっちゃんはもちろん坊主頭で卒業していったのだけれど、右後ろか左後ろに丸い小さな禿げがあった。後ろから見てもよっちゃんと分かるポイントだった。

よっちゃんは私の学年に彼女がいた。可愛らしい女子で、よっちゃんの卒業式の日には泣いていた。よっちゃんは泣いている彼女を抱き寄せていた、自転車置き場で。そしておもむろにギターを取り出してぽろぽろと彼女のために何かしらを弾いていた、自転車置き場で。卒業式にギターを持ってくる、よっちゃん。

 

「よっちゃん、坊主なのに凄いな」、私の感想はこれに尽きた。その後よっちゃんと彼女は別れたらしく、高校生になったよっちゃんを見かけたのはバス停でよっちゃんが新たな彼女の耳を舐めているところだけ。よっちゃんは最早坊主ではなかった。

 

私、なんだがよっちゃんに関してデバガメだな、とこれを書いていて思った。

 

 

今週のお題「卒業」