ひっそりと

いろいろ思うところをつらつらとつれづれに書いてみようかと。Qka_hsrt☆yahoo.co.jp

柊鰯と巻きずし

小学生の頃、毎朝、同じ登校班のトモちゃんのうちに迎えに行ってからトモちゃんと一緒に集合場所に向かった。トモちゃんのうちは農家でトモちゃんの母親が教師をしていたので祖母が一家の家内のことを取り仕切っていた。

その祖母はキーキーとヒステリックなタイプで気分にムラがあり、下校後トモちゃんと遊ぶ約束をしていたのに、訪れた私に「今日はトモコは勉強する日や。はよ帰って!」と怒鳴ったり、その他にもワケの分からない怒れた対応をしたりした。普段は普通のおばあさんなのに時々そのようになるので私にとってはおっかない人だった。

 

節分の朝はトモちゃんのうちの玄関に柊鰯が飾ってあるので嫌だった。朝から生臭くて不気味なものを見ながら呼び鈴を鳴らし、トモちゃんの祖母に挨拶をする。柊鰯は鬼除けのはずなのに家屋からは鬼まがいの祖母が出てくる不条理。「もう中におるやん…」とか心の中でツッコミを入れたのは高学年になってから。

 

私の祖母は時々巻きずしを作ってくれたが、私は巻きずしが好きではなかった。ウナギと卵以外の具が苦行だった。ある日意を決して「おばあちゃん、私、巻きずし嫌いや」と言った。それ以後おばあちゃんは私以外の家族には巻きずしを作り、私にはちらし寿司を作ってくれた。散らされている具は巻きずしと完全に同じで。

おばあちゃん、違う、私は「巻き」に不満を言ったんと違うんや。トータルの味やで…。散らされても味一緒や…。

 

実家での節分は、恵方巻と呼ばれる七つの具が入った美味しくない巻きずしを丸飲みするように食べた。お吸い物もお茶も食卓に置いてあり、恵方を向いて無言で食べる掟のせいで水気のものは恵方巻をすべて飲み込んでからしか手を付けられなかった。喉に詰まる飯粒を自分の唾液だけで処理するしかなかったのでとても苦しかった。

 

結婚後は豆まきをしたあとはカリフォルニアロールで節分ディナー。今日も美味しく頂きました。が、毎年節分にはトモちゃんのうちの柊鰯と喉に感じる飯粒の圧力を思い出す。